バンドマンとお笑い芸人の2人が番頭を務める銭湯が、埼玉県川口市にある。異色の若者コンビが「喜楽湯」を運営し始めて2年。客は1.5倍に増えた。新世代による銭湯経営が、ようやく道に乗りつつある。

若い2人が奮闘

「気をつけてな」「さようなら」。中橋悠祐さん(31)が番頭から声をかけると、常連の小学生の男の子が笑顔で応じる。途切れることなく訪れる客一人一人と言葉を交わす中橋さんは、アイリッシュバンドのパーカッション奏者の顔を持つ。

京都出身で、物心ついた時から父親に連れられ、銭湯に通っていた。水が流れる音、おけを置く音、人の話し声、独特の匂いー。いろんな人がいて「がちゃがちゃしている」雑多な雰囲気が好きだった。浪人、休学を経て25歳で同志社大を卒業。就職活動もせず、銭湯に通いながら何となく今後の人生について考えていたある日、ふと思った。「風呂が好きなんやから風呂やったらいいんちゃうの」。

毎日新聞/2018/03/31/日付/くらしナビより