漫画「スラムダンク」の作者・井上雄彦さん(51)とバスケット選手の対談企画の第3シーズン3回目は、京都ハンナリーズを引っ張る若き司令塔の伊藤達哉選手(24)です。
モットーはディフェンス 小柄でも気持ちの強さは一番
井上 Bリーグデビューとなった昨季はレギュラーシーズン56試合に出場し、平均9得点、4・4アシスト。新人賞の馬場雄大選手(A東京)を上回る数字を残しました。
伊藤 シーズン終盤には新人賞をとれるかも、と思った時期はありました。「京都に新人賞の選手がいる。じゃあ見に行こう」という流れをつくりたかった。でも、実際に取ったら満足してこれ以上成長できないのではないか、という不安もありました。今となっては、取れなくてよかったなと。馬場選手は観客を魅了できるダンクという武器を持っている。すごいの一言です。彼が筑波大にいた頃から苦しめられてきた選手ですし。
井上 なぜ、京都でプロになろうと思ったのですか。
伊藤 高校時代を京都で過ごした、という縁がありました。自分が入って京都のバスケを盛り上げたいと考え決めました。地元の千葉からも声をかけていただいたのですが、同じポジションには日本代表の富樫勇樹選手が。自分が試合に出られるチームを選びたい、という思いもありました。
井上 両親がバスケ選手だったと聞きました。
伊藤 2人とも同じ実業団でプレーしていました。でも、最初は野球をやりたかった。巨人ファンで、松井秀喜選手のユニフォームを着て東京ドームで応援していました。小学校に入って間もないころ、ソフトボールの練習に参加しました。そのときもらった背番号が控えメンバーの2桁。負けず嫌いの自分としては、こんな番号を渡すなんて、と思って、二度と練習に行きませんでした。その後、バスケを始めました。
井上 ポジションは当時からポイントガードですか。
伊藤 そうです。ずっと体が小さかったので。小学6年のときで140㌢ちょっと。父は190㌢、母も160㌢以上。もしかしたら、小学生のころに原因があるのかもしれません。練習が本当にきつくて、一日練習となる休日などは、昼食も夕食もほとんどのどを通りませんでした。もっと食べていれば、と思うこともあります。
京都ハンナリーズ 伊藤達哉選手 × 漫画家 井上雄彦さん
朝日新聞/2018/12/26/日付より