子どもの行動範囲は小学校入学を機に大きく広がる。時代の変化とともに地域の見守りは手薄になり、保護者もいつも近くにいるとは限らない。GPS(全地球測位システム)に特化した小型端末を子どもに持たせようとする親も増えてきた。

●小型端末 カバンに

「子どもがどこにいるのかリアルタイムで分かり安心感があります」。昨年11月からビーサイズ(横浜市港北区)の見守りサービス「GPSBoT」を利用する東京都世田谷区の自営業、安部伸哉さん(41)はそう語る。保育園に通う長男境悟ちゃん(6)は来月から小学生。最寄り駅で迷子になったことがあり、知人の勧めで使い始めた。

端末は5㌢角の正方形で厚さ19㍉。重さは46㌘で通話機能は付いていない。普段は保育園のカバンに入れてあり、親のスマートフォンのアプリに位置情報や履歴が表示される。人工知能(AI)の学習機能が働き、保育園など頻繁に出入りする場所に到着・出発すると通知が届く。端末は5184円、月額利用料は518円だ。「この間、迷子になったでしょ。これを入れておけば居場所がちゃんとわかるから」。長男にはそう伝えた。「何歳まで使うか考えていない。低学年のうちはこれでいいのかなと思っている」と話す。

ビーサイズの八木啓太社長(36)も幼稚園児の父親だ。開発のきっかけについて「子どもが安心して出かけられる、チャレンジできる環境を提供したいと考えた」と語る。GPS機能付き携帯電話など子どもの位置情報を把握する機器はこれまでもあったが、BoTは親が操作しなくても登下校などを通知してくれる。端末にスイッチなどはなく、学校にも持ち込みやすい。2017年4月に発売。出荷台数は1月3万台を超えた。

毎日新聞/2018/03/18/日付より