漫画「スラムダンク」の作者・井上雄彦さん(52)とバスケット選手の対談企画の第3シーズン5回目は、エンターテイナーとバスケ選手の「二刀流」に挑むレバンガ北海道の松島良豪選手(27)です。

試合前にダンス 脚本も執筆 人を元気にする太陽に

井上 本拠地での試合前に、ダンスなどのパフォーマンスを披露していると聞きました。ファンの間では「劇団松島」と呼ばれているとか。

松島 ある日の試合前、練習しようとコートへ入場したら、チームメイトが誰もついてこなくて、僕1人だけになった。そこで「なんや、みんな来んのかい!」と、大きなリアクションを取ったのが最初です。いまでは、音声さんや照明さんのために脚本を書いています。

井上 昨季は本拠での30試合すべてで、異なるパフォーマンスを繰り広げたそうですね。

松島 ファンの人が飽きるので同じネタはやりたくありませんでした。とはいえ、新しいネタを考えるのがきつくて……。今季は半分の15公演。開幕戦ではみこしに乗って登場し、マツケンサンバを踊りました。

井上 選手としてよりも、パフォーマンスで先に名を知られた感はありました。

松島 最初は複雑な気持ちでした。昨季は、東京であったアウォーズ(年間表彰式)でダンスを披露しました。SNSなどを通じて一気に知名度が上がっただけに、今季のバスケの成績がダメになるのは、どうしても嫌でした。

井上 リーグ最多記録を更新する1試合18アシストを達成するなど、今季は好調です。

松島 昨季まではつなぎ役が多く、出場時間が3分ほどの試合もありました。勝負どころの第4クオーターに自分が出ることはない、という考えさえありました。このままでは後悔するなと思ったんです。主力選手よりも長く試合に出たいとか、試合の最後にコートに立っていたいとか、そういう気持ちが出てくるようになりました。

レバンガ北海道 松島良豪選手 × 漫画家 井上雄彦さん

朝日新聞/2018/02/27/日付より