原作の魅力に近いものに

昨夏の刊行後、累計発行部数が200万部を突破する大ヒットとなった「漫画 君たちはどう生きるか」(吉野源三郎原作)は、80年前の原作を現代に見事に〝復活〟させた。漫画を担当し、2年がかりで仕上げた羽賀翔一さん(31)がインタビューに応じ「時間はかかったが、原作の魅力に近いものになった」と語った。同作は、情報会社オリコンが5月末に発表した今年上半期のベストセラーランキング(総合部門)で1位に。ブームは続く。

80年前の作品 現代に復活

友だちを裏切ってしまった主人公の中学生「コペル君」は、死んでしまいたいと思うほどに悔やむー。漫画の冒頭は、そんな苦悩から始まる。「原作の物語で一番感情が強く動くところ。漫画のメインとして描きたかった」と羽賀さん。

思い詰めるコペル君に「叔父さん」は、立ち直ろうとする気持ちこそが人間の立派さで、苦しんだ経験はいつか自分の支えになると伝える。「自分が中学生の時に読んでいたら、救われる気持ちになったはず」

企画を打診された2015年当時は漫画家として「崖っぷち」で「自分がどう生きるか」という状況だった。コペル君と叔父さんの交流を軸に「自分で自分を決定する力」を見つけていく物語を読み、日常の小さな出来事の中から意味を見いだす展開に、自分の作風と通ずる部分があると感じ、引き受けた。

信濃毎日新聞/2018/06/04/日付より

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