被災者に 届ける映画

避難所や復興住宅 無料で巡回

 東日本大震災の被災地で、無料の巡回上映会が続けられています。会場は仮設住宅から災害公営住宅へと移り、被災者の苦楽に寄り添ってきました。

 岩手県宮古市の鍬ケ崎公民館。窓から見えるかつての住宅街は更地が目立ち、再建した家はまばらだ。
 2月上旬、畳の上に座布団とパイプ椅子を並べた一室に、70~80代ほどの住民16人が集まった。壁一面に白いスクリーン、窓は暗幕でふさがれた。「ローマの休日」の上映が始まった。王女のユーモラスな逃走劇にじわりと笑いの波が起き、別れの場面では目頭を押さえる人も。終映と同時に拍手がわき上がった。
 津波で自宅を失い、昨年、近所に再建した金沢英司さん(76)は「ローマの街並みを隅々まで目に焼きつけられ、幸せな2時間でした」とほほえんだ。
 巡回上映を続けるのは宮古市の映画館「シネマリーン」の支配人だった櫛桁一則さん(45)。2011年3月の震災で市内は611人が犠牲になり5968戸が全壊。映画館は無事だったが、しばらく休業した。

朝日新聞/2018/03/05/日付より

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