「好き」極めるプロゲーマー

コンピューターゲームの対戦で腕前を競う「eスポーツ」が普及する中、ゲームで生計を立てるプロゲーマーの存在が注目されている。どんな生活をしているのだろう。

目標なき就職活動

7月末、東京都中野区の複合ビル地下1階。格闘ゲーム(格ゲー)の大会で、司会者から「全ての格ゲーに愛される男」と紹介された男性がいた。プロゲーマーの「かずのこ」こと、井上涼太さん(30)=東京都台東区。そう称されるのは、さまざまな種類の格闘ゲームをプレーし、結果を出し続けているからだ。

この日の対戦でも随所で実力を発揮。連続攻撃を決めると、観客や実況席から「うますぎる!」と歓声が上がった。3人1組のチーム戦では惜しくも優勝を逃して2位。自身は5勝2敗という戦績だった井上さん。「日本人のトッププレーヤーばかりを集めたイベントだったので、プロゲーマーとしてはいい結果かなと思う」と振り返った。

埼玉県出身。高校時代に格闘ゲームにはまり、ゲームセンター(ゲーセン)に通うようになった。親からは「ゲーセンに行くな」と止められていたという。県内の私立大学に進学後もゲーム生活は続いた。卒業後を見据えて就職活動をしたが、「この会社に入りたい」「こんな仕事がしたい」という目標が見つからなかった。一方でゲームは大好き。しかし、いつも後ろめたい気持ちがあった。

転機は大学卒業後の2011年。当時フリーターだった井上さんは、「ゲームを真面目にやるのは最後」と決めて挑んだ国内大会で優勝した。そしてカナダの世界大会に招待され、そこでも優勝。実力のあるプレーヤーが称賛される海外の文化に驚いた。賞金を稼いだことで、親もゲームを遊びではなく仕事と見てくれるようになった。

毎日新聞/2018/08/20/日付より

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