県教委は3月、県立高校第2期再編を含む高校改革の実施方針案を示した。今後は旧12通学区ごとに「高校の将来像を考える地域の協議会」が順次設置され、高校配置の在り方を見直す議論が各地で本格化していく。この方針案作成に向けて県教委が各通学区で行った地域懇談会では、第1期再編の検証を求める声も上がった。既に再編・統合を経験し、特色ある学びを展開する各地の県立高を訪ね、その成果と課題を見る。
初の公立中間一貫 人材育成重視の屋代
青空が広がった2日午前、千曲市の「姨捨の棚田」。市の制度で棚田のオーナーとなった県内外の人たちに交じって、同市の屋代高校付属中学校の2年生24人が、はだしで田植えを体験していた。1列になって苗を植えていき、終わると笑顔で汗を拭った。
田植え体験は「考える、まとめる、発信する」力を養う授業「科学リテラシー」の一環。本年度のテーマは「千曲市の宝探し」で、市内の観光拠点を訪れて魅力を体感するほか、観光客にインタビューして客観的評価も考える。学習成果は来年2月に地域住民らの前で発表する予定だ。
県内初の公立中高一貫校として2012年に開校した付属中では、中高6年間のゆとりを生かし、主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」を先取りしている。付属生は高校入試を受けないため、こうした学習を3年間続ける。
「屋代では都会の中高一貫校のように大学受験に特化したカリキュラムを取っていない。むしろ中学でのゆとりを生かした『深い学び』を大切にしている」。屋代高・付属中の高沢邦明校長は、学校の基本姿勢をこう説明した。
信濃毎日新聞/2018/06/06/日付より