第10部 地球に生き続ける(4)
私たちの健康な暮らしに欠かせない食事。2050年、世界の人口が98億人まで増えたとき、地球は必要な食料を供給できるのだろうか。世界で生産される年40億㌧の食べ物のうち3分の1が食卓に届く前に失われている。作りすぎたり腐らせたりしているムダをなくし、いつか到来する「地球の限界」を超えていかなければならない。ディスラプション(創造的破壊)を起こして、課題を解決しようとするスタートアップなどが、新たな食の循環型社会を切り開こうとしている。
ドイツ・ベルリンのスーパー、エデカには、来店客に人気の一風変わった売り場がある。緑鮮やかなレタスやイタリアバジルが並ぶ「畑」だ。
売り場の後ろに控える約2㍍四方の冷蔵ケースの中には、人口の光で照らされた野菜が青々と実る。時折、スタッフがやってきて、食べごろのみずみずしい野菜を選んで、てきぱきと売り場に並べていく。
日本経済新聞/2020/01/29/日付より