研究で苦手克服 感想戦でも活用

1対1のボードゲームで人間がコンピューターを上回る最後の聖域とされてきた囲碁で、トップ棋士がAI(人工知能)の軍門に下って2年半。常識外れに見えるAIの着手に碁会は混迷を極めたが、今年に入ってその意図を盤上に示すAIを誰もが利用できるようになった。「AI先生」に教えを請おうと、日本の騎士もこぞって自分のパソコンにインストールしている。

棋士ら、こぞってインストール

8月21日、「世界ペア碁最強位決定戦」が東京・渋谷で打たれた。韓国ペアに敗れた中国ペアの柯潔九段(21)は終局直後、やにわにスマホを操作し、AIの推奨手を食い入るように見つめた。

「ここではこの手がよかった。AIが高く評価している」「この手でAIの評価値が一気に落ちた」。相手との感想戦で、AIの手を実際の机上に示しながら主張した。柯は世界タイトルを何度も獲得している一流棋士だ。日本の感想戦では、それぞれが対局中の読みを明かして最善手を追求するが、中国のそれは違う。

「AIを参照するのは、いつものこと。100%正しいとは言えないが、少なくとも人間よりはるかに強い」と柯。2016年3月、米グーグルのAI「アルファ碁」が韓国の世界ランカー委セドル九段を4勝1敗で圧倒し、AI初の人間越えを遂げた。柯も17年5月に挑んだが、3連敗のストレートで負け「人類vsAI」の戦いは決着した。

朝日新聞/2018/09/14/日付より