震災で転居の地 最後の夏

松本深志の「小林兄弟」が、最後の夏を迎える。

父は画家、母はオルガン奏者。両親の留学先のドイツ・シュツットガルトで、兄の綾と弟の絃は生まれた。5歳の時に千葉県流山市の引っ越し、幼稚園の友達に誘われて一緒に野球を始めた。

一家が松本市に引っ越したのは、2人が小学校を卒業するとき。きっかけは、2人が小学4年の時に経験した2011年の東日本大震災だった。東京電力福島第一原発事故の影響で、流山市を含む千葉県北西部には放射線量の高いホットスポットが点在。汚染土の処分法をを巡っては、地域で混乱が広がった。

子育ての不安が高まる中、2人の両親は転居を決断。チェルノブイリ原発事故の医療活動で知られる菅谷昭市長がいる松本市を新たな暮らしの場に選んだ。入学した中学校は、知らない子ばかり。「引っ越してきた理由を話すと、放射線って何?と聞き返された」と絃は振り返る。

松本深志では、1年生の春の県大会中信予選で共に初めて公式戦に出場。1年生の秋からは1桁の背番号を背負い、チームの中心選手となった。

朝日新聞/2018/07/07/日付/追いかけた先に/より

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