プラスチックによる環境汚染を減らそうと、米国の大手企業や自治体で使い捨てのプラ製ストローの提供をやめる動きが広がっている。代わって登場したのが紙ストローやふたに穴の開いたカップなど。現地で使い心地や市民の反応を探った。

プラスチック危機 米の現状を歩く

ロサンゼルス中心部から海岸に向かって西に約50㌔。国内外からサーファーや海水浴客が訪れ、太平洋を望む高級住宅地として知られるカリフォルニア州マリブは、6月から飲食店がプラ製ストローを提供することを条例で禁じた。プラ製のフォークなども対象で、違反すると100~500㌦(1万1000~5万5000円)の罰金が科せられる。

利用者の苦情なし

青い海と白いパラソルがまぶしい海沿いの飲食店「パラダイス・コーブ・ビーチカフェ」では、パイナップルやスイカを容器にしたトロピカルドリンクが人気で、ストローが欠かせない。そこで、真ん中に穴の開いた細長いパスタをストロー代わりに使っている。

各テーブルには説明文が掲げられていた。〈私たちは世界中で広がった深刻な問題を解決しようとしている。ストロー一本からー〉

パスタが水分で湿ってくると、少し手がべとつく感触があったが、飲み物を吸い込むのに大きな問題はなかった。

店を経営するボブ・モリスさんは「4時間は耐久性があり、パスタは水と小麦粉からできているので環境にやさしい。1日3000人が来店するが、苦情はありません」と胸を張った。

客のセラピスト、ジェリー・メデラスさん(46)は「口紅が落ちやすいので容器を口をつけて飲むのは嫌いだが、環境のため、プラ製ストロー廃止には賛成する。パスタは紙より強度があって飲みやすく、良いアイデアだ」と支持した。

毎日新聞/2018/08/10/日付より