子供につい感情的に怒ってしまうことはないだろうか。親子げんかへの処方箋になるのが「家族会議」。けんかが減り、会話が増える効果があるらしい。実践している家族に聞いてみた。

気持ちを書き出す

家族会議を実践している江連麻紀さん(38)が暮らす神奈川県内のマンションの一室には、大きなホワイトボードがある。

長女の摩耶さん(10)が「はをきれいにみがくのがめんどくさい」「はみがきつまんない」と書くと、麻紀さんはすかさず「虫歯をつくらないようにがんばってほしー」と書き込む。どうサポートすれば歯磨きを続けられそうか、互いにアイデアを出し合う。自分の気持ちを文字にしながら、みんなで「研究する」スタイルの家族会議は、江連家の日常風景だ。会議を始めてから、親子げんかは激減したという。

摩耶さんが夕飯の手伝いや宿題をせず、テレビを見続けていることを叱っても、「今やろうと思っていた」と言い返され、口げんかはヒートアップしていくばかり。麻紀さんは「親子げんかはしょっちゅうありました。何度も同じけんかを繰り返して行き詰まり、感情的に怒る前にどうしてけんかになるのか研究してみようという気になったんです」と振り返る。

「宿題に集中できない」「うそをつく」など、子ども自身が困っていることをテーマに、まずは事実やお互いの気持ちをホワイトボードに書き出して共有する。ホワイトボードがなければ、紙で代用してもいい。

これまで一番盛り上がったのは、「けんかの研究」だ。摩耶さんの意見は、けんかした時に無視しないで!(無視されたら、さらに激怒しちゃう!!)∇大きい声を出すのは「今イライラしています!」ということ∇「でも」と話を遮らないで、最後まで私の意見を聞いてー。

それを踏まえて、話を遮りたくなったらどうするか∇けんかをして(摩耶さんが)興奮したときにどう声をかけたらいいか∇どうやったら仲直りできるのかーなどと、麻紀さんがホワイトボードに書き出し、アイデアを出し合った。こうした研究の積み重ねにより、まだ小さい弟の世話を負担に感じていたことなど、摩耶さんの意外な本音も発見できた。

毎日新聞/2018/09/08/日付より