「オーディオブック」利用者が急増

声優やナレーターらによる本の朗読を聴く「オーディオブック」の利用者が増えています。スマートフォンの普及とともにここ数年で急増し、2024年度には市場規模が260億円になるとの推計も。活字が苦手で本を敬遠していた人の「救世主」にもなっているようです。

活字が苦手でも■すきま時間に

昨年12月、東京都の会社員の女性(51)はオンラインで読書会を開いた。取り上げた本は「現代経済学の直感的方法」(講談社)。400㌻以上もあるビジネス書だ。資本主義にとって貯金は悪なのか、消費や貯金残高で幸せは測れるのか。参加者らと本をもとに意見を語り合った。

女性はこの本を目で読んだのではない。オーディオブックを使い、耳で「読んだ」。

本が嫌いだと思っていた。子どものころは母が絵本を読み聞かせてくれていたが、物心がついたころから読めなくなった。本を前に、いざ読もうと思っても集中できない。「自分はバカなんだ」と思い、長いこと1年に1冊も読まなかった。

2年ほど前、職場で話題になっていた本を何とかして読みたいと思い、オーディオブックに出会った。

朝日新聞/2021/01/28/日付より